
ジヒドロテストステロン(DHT)とは?
AGA・性機能への影響と対策を専門家が解説【医師監修】
本記事はAGA治療の専門医院として20年以上の実績がある、リブラクリニックが制作したものです。
「ジヒドロテストステロン」という言葉を検索された方の中には、おそらく薄毛(AGA)への不安からこのページを訪れた方も多いのではないでしょうか。
その悩みは多くの男性が感じるものであり、ジヒドロテストステロン(DHT)がAGAの主要な原因物質であることは事実です。
ただし、この強力な男性ホルモンの影響は、髪の問題だけにとどまりません。特に男性にとって、DHTは活力や自信に直結する性機能、そして前立腺の健康など、男性らしさを左右する重要な領域に深く関わっています。
本記事では、医学的にジヒドロテストステロン(DHT)が何であり、どのように身体に作用するのかを明らかにするだけでなく、最も重要なポイントとして性機能などの健康を損なうことなくDHTと上手に付き合う具体的な方法などを解説します。
この記事の監修者
座右の名は「努力こそ金なり」、趣味は釣り。
ジヒドロテストステロン(DHT)とは?男性の身体における役割を徹底解説
ジヒドロテストステロン(DHT)を正しく理解することは、男性が自分の身体と向き合う上で非常に重要です。
DHTはAGAの原因として「悪玉ホルモン」と捉えられがちですが、実はもっと複雑な役割を担っています。
ジヒドロテストステロン(DHT)の基本的な定義と生成プロセス
ジヒドロテストステロン(DHT)は男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、よく知られるテストステロンから作られます。
具体的にはテストステロンが「5α-リダクターゼ(還元酵素)」という酵素によって変換されることで生成されます。
この変換プロセスが重要なポイントです。ジヒドロテストステロン(DHT)はテストステロンよりも特定の組織に対して非常に強力に作用する性質があります。この強力な作用こそが、DHTが男性の身体に幅広い影響を与える理由なのです。
この還元酵素「5αリダクターゼ」に関して詳しくは下記記事もご覧ください。
5αリダクターゼ(還元酵素)とは?その働きと抑制する方法について徹底解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
人生のステージで変わるジヒドロテストステロン(DHT)の「二面性」
ジヒドロテストステロン(DHT)は本質的に「善」でも「悪」でもありません。その影響は男性のライフステージによって大きく変わります。成人期には悩みの原因となる一方で、男性が男性として形成される過程では欠かせない役割を果たしています。
- 胎児期:男性を形成する最初のスイッチ
- 母親の胎内で新しい命が育まれるとき、ジヒドロテストステロン(DHT)は男性の外性器(陰茎や陰嚢)が正常に形成されるために必要不可欠なホルモンです。
この時期にDHTの働きが十分でないと、男性器の発達に問題が生じる可能性があります。
- 母親の胎内で新しい命が育まれるとき、ジヒドロテストステロン(DHT)は男性の外性器(陰茎や陰嚢)が正常に形成されるために必要不可欠なホルモンです。
- 思春期:男らしさへの変化を促す立役者
- 思春期になると、ジヒドロテストステロン(DHT)は第二次性徴を促進する主役として活躍します。
声が低くなる「声変わり」、髭や胸毛、陰毛といった体毛の成長、そして陰茎や精巣の発達など、少年から大人の男性へと身体が変化する過程で中心的な役割を担います。
- 思春期になると、ジヒドロテストステロン(DHT)は第二次性徴を促進する主役として活躍します。
テストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)の比較
特徴 | テストステロン | ジヒドロテストステロン |
---|---|---|
生成源 | 主に精巣で生成 | テストステロンから5α-リダクターゼにより変換 |
活性度 | 男性の基本となるホルモン | テストステロンより強力に特定の組織へ作用 |
主な良い役割 | 筋肉・骨格の維持、性欲、活力の源 | 胎児期の男性器形成、思春期の二次性徴の発現 |
主な懸念事項 | 直接的には少ない | 成人期のAGA(男性型脱毛症)、前立腺肥大症、皮脂の過剰分泌 |
テストステロンが男性の健康全般を支える「基盤」であるのに対し、ジヒドロテストステロン(DHT)はより特化した、強力な「実行役」としての役割を担います。
ジヒドロテストステロン(DHT)が関与する成人男性の主な悩み
胎児期や思春期に重要な役割を果たしたジヒドロテストステロン(DHT)は、成人期に入ると、その強力な作用が逆に男性特有の悩みを引き起こす原因となります。
AGA(男性型脱毛症)との関係
ジヒドロテストステロン(DHT)と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのがAGA(男性型脱毛症)でしょう。
AGAの発症メカニズムにおいてジヒドロテストステロン(DHT)は中心的な役割を果たします。
ジヒドロテストステロン(DHT)が頭皮、特に前頭部や頭頂部にある毛乳頭細胞の「アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)」に結合すると、「TGF-β」と呼ばれる脱毛因子が生成され、毛母細胞の増殖が抑制されます。
その結果、髪の毛の成長期が著しく短縮され、健康な毛髪は次第に細く短い産毛のような毛へと変化していきます。この現象は「ミニチュア化」と呼ばれ、薄毛が進行していくのです。
前立腺肥大症(BPH)との関連
加齢とともに多くの男性が経験する排尿の悩みの主な原因が前立腺肥大症(BPH)です。
ジヒドロテストステロン(DHT)は前立腺の細胞増殖を強力に促進する働きがあり、長年の刺激により前立腺組織が徐々に肥大していきます。
大きくなった前立腺が尿道を圧迫するため、「頻尿」「尿の勢いが弱い」「排尿に時間がかかる」「残尿感」といったさまざまな排尿症状が現れます。
皮脂・体毛・体臭への作用
ジヒドロテストステロン(DHT)は身体に対照的な影響を与えます。頭皮の毛髪の成長を抑制する一方で、髭や胸毛、腕や脚の毛といった体毛の成長は促進します。
また、皮脂腺を強力に活性化させ、皮脂の分泌を増加させます。この過剰な皮脂が酸化や常在菌による分解を受けることで、「加齢臭」や「ミドル脂臭」の一因となります。
ジヒドロテストステロン(DHT)が多いと言われる人の特徴とは?
体内のジヒドロテストステロン(DHT)量を直接測定することは一般的ではありませんが、身体的な特徴として現れる影響からわかることがあります。
以下の特徴に複数当てはまる場合、ジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすい体質の可能性があります。
- 遺伝的素因:近親者に薄毛の人がいる場合、AGAを発症しやすい遺伝的素因を受け継いでいる可能性が高い
- 薄毛の進行パターン:生え際のM字型後退や頭頂部の薄毛は、DHTが原因となるAGAの典型的なパターン
- 濃い体毛:頭髪の薄さとは対照的に、髭、胸毛、腕、脚などの体毛が濃く、太い傾向
- 皮脂の多さ:顔や頭皮が脂っぽく、ニキビ(特に成人ニキビ)ができやすい体質
これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、医学的な診断ではありません。正確な診断と適切な対策のためには、必ず医療機関で専門家の診察を受けることが不可欠です。
ジヒドロテストステロン(DHT)の悩み、どう向き合う?
セルフケアでできること
ジヒドロテストステロン(DHT)は、抑制するとされるさまざまな食品(亜鉛、大豆イソフラボンなど)や生活習慣の改善(ストレス管理など)があります。
これらは健康的な生活を送る上で有益であり、全体的なホルモンバランスをサポートする可能性はあります。
ただし、これらのセルフケアだけで、遺伝的要因が強く関わる進行性のAGAや前立腺肥大症(BPH)を根本的に治療したり、進行を止めたりすることは極めて困難です。
セルフケアはあくまで「補助的なサポート」と位置づけ、過度な期待は禁物です。
専門家への相談が不可欠な理由
ジヒドロテストステロン(DHT)に関連する悩みで最も重要なのは、専門家である医師への相談です。その理由は主に二つあります。
- 正確な診断のため
- 薄毛の原因はAGAだけではありません。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、その他の内科的疾患が原因である可能性もあります。
ED(勃起不全)も精神的ストレス、生活習慣病、血管の問題など、さまざまな原因が考えられます。自己判断で「ジヒドロテストステロン(DHT)のせいだ」と決めつけると、本来治療すべき根本原因を見逃す危険性があります。
- 薄毛の原因はAGAだけではありません。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、その他の内科的疾患が原因である可能性もあります。
- 「治療のパラドックス」を安全に乗り越えるため
- ここに最も深刻な問題があります。AGAや前立腺肥大症(BPH)の治療には「5α-リダクターゼ阻害薬(フィナステリドやデュタステリドなど)」が効果的ですが、これらの薬剤は一部の使用者で性欲減退や勃起不全(ED)を引き起こす可能性があります。
つまり「髪や前立腺の問題を解決するために薬を飲んだら、男性としての自信の源である性機能が損なわれるかもしれない」という深刻なジレンマが存在するのです。
医師は治療によるメリット(薄毛改善や排尿症状の緩和)と潜在的なデメリット(性機能への影響)を天秤にかけ、あなたの年齢、健康状態、価値観を尊重しながら最適な治療計画を立案します。
副作用への対処法も含め、専門家と二人三脚で治療を進めることが、安心して悩みを解決するための唯一の道です。
AGA・EDの悩みを同時に相談できるリブラクリニック
数あるオンライン診療クリニックの中でも、リブラクリニックはAGAとEDの両方の治療を専門としており、一度の診察で両方の悩みを相談し、同時に処方を受けることが可能です。
別々のクリニックに通う手間や費用を省き、一貫したサポートを受けられる点は大きなメリットです。
AGA治療や、その副作用によるED治療にお悩みの方は、ぜひリブラクリニックのオンライン診療をお申し込みください。
まとめ
ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性の身体形成に不可欠でありながら、成人期にはAGAや前立腺肥大症の原因となる二面性を持つホルモンです。
薄毛の悩みも、性的なパフォーマンスや活力に対する不安も、どちらも切実な問題です。ジヒドロテストステロン(DHT)という共通のホルモンを介して複雑に絡み合っているからこそ、男性の健康をトータルで理解し、最適なバランスを見つけ出すアプローチが不可欠です。
リブラクリニックにご相談いただき、専門的なサポートのもとで確かな一歩を踏み出してください。
当院で取扱の薬品
当院では、国内正規品のプロペシアとプロペシアジェネリック(フィナステリド錠)、ザガーロとザガーロジェネリック(デュタステリド錠/カプセル)、ミノキシジル配合外用液5%、カルプロニウム塩化物外用液5%を処方しております。処方や服用方法に関して詳しくは下記ページをご覧ください。
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