
薄毛対策の食べ物は?AGAに悩む男性が摂るべき栄養素と避けるべき食事【医師監修】
本記事はAGA治療の専門医院として20年以上の実績がある、リブラクリニックが制作したものです。
薄毛に悩む多くの方にとって、日々の食事を見直すことは最も身近で効果的な対策の一つです。髪の毛は私たちが摂取する栄養素から作られているため、食生活の質が髪の健康に直結します。
この記事では、医療従事者の視点から、薄毛対策のために積極的に摂るべき食べ物と避けるべき食習慣について、科学的根拠に基づいて解説します。健康な髪を育むための土台作りとして、まずは毎日の食事から見直していきましょう。
この記事の監修者
座右の名は「努力こそ金なり」、趣味は釣り。
薄毛対策で摂るべき食べ物と髪を育てる3大栄養素
健康な髪を育むためには、バランスの取れた栄養摂取が不可欠です。特に「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン群」は、髪の成長と頭皮環境の維持において重要な役割を果たす3大栄養素です。
これらの栄養素が不足すると、髪が細くなったり抜け毛が増えたりする可能性があります。以下、それぞれの栄養素の働きと効率的な摂取方法について詳しく説明します。
① タンパク質 – 髪の主成分「ケラチン」の材料となる食べ物
髪の毛の約85%以上は「ケラチン」というタンパク質で構成されています。ケラチンは18種類のアミノ酸から成り立っており、その中には体内で生成できない必須アミノ酸も含まれるため、食事からの摂取が必要です。
タンパク質が不足すると、体は生命維持に重要な臓器へ優先的に栄養を供給するため、髪への栄養供給が後回しになってしまいます。この結果、髪の成長が阻害され、薄毛につながる可能性があります。
良質なタンパク質を摂取するには、肉類、魚介類、卵、大豆製品などをバランス良く食事に取り入れることが重要です。
主要タンパク質源と含有量の目安
食品 | 100gあたりのタンパク質含有量(目安) | 特徴 |
---|---|---|
鶏むね肉(皮なし) | 約23g | 高タンパク・低脂質で、薄毛対策の基本となる食材 。 |
鮭 | 約22g | 良質なタンパク質に加え、血行を促進するオメガ3脂肪酸も豊富 。 |
卵(全卵) | 約12g | タンパク質、亜鉛、ビオチンなど髪に必要な栄養素をバランス良く含む 。 |
豆腐(木綿) | 約7g | 植物性タンパク質と、AGAの原因物質抑制が期待されるイソフラボンが豊富 。 |
牛赤身肉 | 約21g | タンパク質と、髪の合成に不可欠な亜鉛や鉄分を同時に摂取できる 。 |
② 亜鉛 – 髪の合成を促し、薄毛の原因に働きかける食べ物
亜鉛は髪の健康維持において極めて重要なミネラルです。その役割は主に二つあります。
まず、摂取したタンパク質を髪の主成分であるケラチンに再合成する際に、亜鉛が必須の役割を果たします。十分なタンパク質を摂取していても、亜鉛が不足していると効率的に髪を生成できません。
次に、AGA(男性型脱毛症)に悩む男性にとって注目すべき点として、亜鉛にはAGAの主要な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)を生成する酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害する可能性があることが示唆されています。
ジヒドロテストステロン(DHT)や5αリダクターゼについて詳しくは下記記事もご参考ください。
- ジヒドロテストステロン(DHT)とは?AGA・性機能への影響と対策を専門家が解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
- 5αリダクターゼ(還元酵素)とは?その働きと抑制する方法について徹底解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
日本人の食生活では亜鉛が不足しがちなため、意識的な摂取が推奨されます。亜鉛を多く含む代表的な食べ物には、牡蠣、レバー、赤身肉、チーズ、ナッツ類などがあります。
③ ビタミン群 – 頭皮環境を整え薄毛を防ぐ食べ物
ビタミン群は直接髪の材料になるわけではありませんが、頭皮の健康維持と髪が育ちやすい環境づくりに不可欠な栄養素です。各ビタミンはそれぞれ異なる役割を持ち、相互に作用して髪の成長をサポートします。
- ビタミンA: 頭皮の新陳代謝を促進し、皮脂分泌を正常に保つ働きがあります。これにより、頭皮の乾燥や過剰なべたつきを防ぎ、健康な状態を維持できます。
ただし、脂溶性ビタミンのため過剰摂取は脱毛を含む健康被害を招く可能性があり、サプリメントでの摂取には注意が必要です。 - ビタミンB群(B2、B6、B12など): タンパク質の代謝を助け、エネルギー生成に関わる重要な役割を果たします。
特にビタミンB2とB6は皮脂分泌をコントロールし、頭皮の炎症を防ぐ効果が期待されます。また、ビタミンB12は毛母細胞の分裂をサポートします。 - ビタミンC: 丈夫な血管の維持に不可欠なコラーゲンの生成を助けます。頭皮の毛細血管を健康に保つことで、毛根への血流と栄養供給を促進します。また、鉄分の吸収率を高める効果もあります。
- ビタミンE: 「若返りのビタミン」とも呼ばれ、強力な抗酸化作用を持ちます。血管を酸化ストレスから守り、血行を促進する働きがあるため、毛根に栄養が届きやすくなります。
これらのビタミンは、特定の食品に偏らず、様々な食品からバランス良く摂取することが重要です。
髪の健康を支えるビタミンとその働き
ビタミン | 主な働き | 多く含む食べ物 |
---|---|---|
ビタミンA | 頭皮の新陳代謝を促進し、皮脂バランスを整える。 | レバー、うなぎ、緑黄色野菜(人参、ほうれん草、かぼちゃ) |
ビタミンB群 | タンパク質の代謝を助け、皮脂分泌をコントロールする。 | 豚肉、レバー、マグロ、卵、納豆、玄米 |
ビタミンC | コラーゲン生成を助け、頭皮の血管を丈夫にする。鉄分の吸収を促進。 | パプリカ、ブロッコリー、柑橘類(レモン、キウイ) |
ビタミンE | 血行を促進し、毛根への栄養供給をサポートする。 | ナッツ類(アーモンド)、植物油、アボカド、うなぎ |
【コンビニでも手軽に】薄毛対策におすすめの食べ物7選
忙しい毎日の中で、栄養バランスの取れた食事を常に自炊するのは困難な場合もあるでしょう。しかし、コンビニエンスストアで手に入る食品を賢く選ぶことで、薄毛対策に必要な栄養素を手軽に補うことができます。
以下、今日からでも始められる、コンビニで購入できるおすすめの食べ物を7つご紹介します。
- ゆで卵: 「完全栄養食」とも呼ばれる卵は、髪の主成分であるタンパク質をはじめ、ケラチンの合成を助けるビオチン、亜鉛などをバランス良く含んでいます。朝食や間食に最適な手軽な栄養補給源です。
- サラダチキン: 高タンパク・低脂質の代表的な食品です。良質な動物性タンパク質を手軽に摂取でき、髪の材料をしっかりと補給できます。鶏皮に含まれるコラーゲンが髪の太さをサポートするという研究結果もあります。
- 納豆: 植物性タンパク質、亜鉛、そして5α-リダクターゼの働きを抑制する効果が期待される大豆イソフラボンを豊富に含んでいます。薄毛対策において理想的な食材の一つです。
- 豆腐・豆乳: 納豆と同様に、良質な植物性タンパク質とイソフラボンを含有しています。冷奴や味噌汁の具、飲み物として手軽に食生活に取り入れられます。
- サバ缶: 良質なタンパク質に加え、血流改善効果が期待されるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が豊富です。頭皮の血行を促進し、毛根への栄養供給をサポートします。水煮缶や味噌煮缶など種類も豊富で、飽きずに続けやすいのが魅力です。
- ミックスナッツ(食塩無添加): 亜鉛やビタミンE、その他のミネラルを手軽に摂取できる優れた間食です。血行促進や髪の合成をサポートします。ただし、脂質も多いため食べ過ぎには注意し、塩や油で加工されていない素焼きのものを選びましょう。
- ヨーグルト(無糖): タンパク質の補給源となるだけでなく、腸内環境を整える効果も期待できます。腸内環境が改善されると栄養素の吸収率が向上します。また、一部の研究では、ヨーグルトなどの発酵食品が髪の成長因子「IGF-1」を増やす可能性も示唆されています。
薄毛を進行させる?注意したい食べ物と食習慣
健康な髪を育むためには、良い食べ物を摂取するだけでなく、髪に悪影響を及ぼす可能性のある食べ物や食習慣を避けることも同様に重要です。
特に、脂質・糖質・塩分の過剰摂取や過度なアルコール摂取は、頭皮環境の悪化や血行不良を招き、薄毛を進行させる要因となる可能性があります。ここでは、髪に悪影響を及ぼすメカニズムごとに、注意すべき食習慣を整理して解説します。
頭皮環境の悪化や血行不良を招く食習慣
頭皮の健康は髪の成長の土台です。しかし、特定の食習慣は頭皮環境を悪化させ、薄毛のリスクを高めます。
脂質・糖質の多い食べ物: 揚げ物、ラーメン、ファストフード、菓子パン、ケーキ、清涼飲料水などの過剰摂取は、複数の悪影響をもたらします。
- 皮脂の過剰分泌: 皮脂分泌が活発になり、毛穴を詰まらせて炎症を引き起こし、髪の成長を阻害します。
- 血行不良: 血液中の中性脂肪が増加し、いわゆる「血液ドロドロ」の状態を招きます。これにより頭皮の毛細血管の血流が悪化し、毛根への栄養供給が滞ります。
- 糖化による老化促進: 過剰な糖質は体内でタンパク質と結合し、「AGEs(終末糖化産物)」という老化物質を生成します。AGEsは頭皮や毛母細胞の老化を促進し、髪のハリやコシを失わせる一因となります。
塩分の多い食べ物: ラーメンのスープ、カップ麺、加工肉、漬物などの過剰摂取も血行不良の原因となります。塩分は血圧上昇を招き、血液の粘度を高めることで頭皮への血流を悪化させる可能性があります。血流が滞ると、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで十分に届かなくなります。
過度なアルコール摂取は髪の栄養を枯渇させる
適量のアルコールはリラックス効果をもたらしますが、過度な飲酒は髪に深刻なダメージを与えます。
アルコールを分解する過程で、肝臓はビタミンB群や亜鉛といった髪の成長に不可欠な栄養素を大量に消費します。これにより、髪へ供給されるべき栄養素が枯渇してしまいます。
さらに、アルコールの代謝物であるアセトアルデヒドは、AGAの原因物質であるDHTを増加させる可能性があると言われています。肝臓は髪の材料となるタンパク質を合成する重要な臓器でもあり、過度な飲酒による肝機能の低下は、髪の生成能力そのものを低下させることにもつながります。
食事だけで薄毛は改善する?食べ物とAGA治療の関係
これまで薄毛対策における食事の重要性について解説してきましたが、ここで重要な点をお伝えする必要があります。
それは、「食事改善だけで進行してしまったAGA(男性型脱毛症)を完治させ、元の状態に戻すことは可能なのか?」という疑問です。
結論から申し上げると、食事改善は薄毛の予防や進行を緩やかにするための「土台作り」として極めて重要ですが、それだけでAGAを根本的に治療し、失われた髪を再生させることは困難です。
もし、すでにご自身の抜け毛の増加や生え際の後退、頭頂部の地肌の透けなどをはっきりと自覚している場合、それはAGAが活発に進行しているサインかもしれません。
そのような状況で食事改善に取り組むことは、現状維持や悪化速度を抑制する上で非常に有益です。しかし、より積極的な改善や発毛を目指すのであれば、医学的根拠に基づいた治療を検討することが最も効果的なアプローチとなります。
AGAの進行を食い止め、発毛を促すためには、専門家による正確な診断と個々の状況に合わせた治療計画が不可欠です。
リブラクリニックでは、通院不要のオンライン診療を通じて、ご自宅から専門医の診察を受けることができます。
専門医があなたの髪の状態を正確に把握し、効果的な治療選択肢について丁寧に説明いたします。
薄毛と食べ物に関するよくある質問
薄毛と食べ物に関しては様々な情報が飛び交っており、何が正しいのか分からなくなることも少なくありません。ここでは、特によくある質問について、医学的な観点からお答えします。
Q1: 海藻類(わかめ等)は本当に髪に良いのですか?
A: 「わかめを食べると髪が増える」という話は広く知られていますが、これは医学的根拠のない俗説です。海藻類を食べたからといって、直接的に髪が生えたり増えたりするという科学的証拠はありません。
ただし、海藻類には亜鉛やヨウ素、鉄分といったミネラルやビタミンが豊富に含まれており、これらは髪の健康をサポートする上で有益な栄養素です。したがって、バランスの取れた食事の一部として取り入れることは推奨されますが、「特効薬」ではないと理解しておくことが重要です。
Q2: プロテインを飲むのは薄毛対策になりますか?
A: プロテイン(タンパク質)は髪の主成分であるため、食事からの摂取が不足している場合には、プロテインドリンクなどで補うことは有効な手段となり得ます。特に、多忙で食事が偏りがちな方や、厳しい食事制限をしている方にとっては、手軽なタンパク質補給源になります。
しかし、基本はあくまで食事からの摂取です。肉や魚、大豆製品などの食品からは、タンパク質以外のビタミンやミネラルも同時に摂取できます。プロテインはあくまで補助的な役割と捉え、食事の代替品としないようにしましょう。
Q3: 過度な食事制限ダイエットは髪に悪いですか?
A: はい、極めて悪い影響を及ぼします。急激かつ極端な食事制限は、体全体を深刻な栄養不足状態に陥らせます。体は生命維持に必要な臓器へ優先的に栄養を送るため、髪や爪といった生命維持の優先順位が低い部分への栄養供給は真っ先に断たれます。
その結果、髪の成長サイクルが乱れ、「休止期脱毛症(Telogen Effluvium)」と呼ばれる一時的ながらも急激な抜け毛を引き起こすことがあります。一度乱れたヘアサイクルを正常に戻すには時間がかかるため、健康的な減量を心がけることが大切です。
まとめ
薄毛対策において、日々の食事を見直すことは最も基本的で重要な第一歩です。健康な髪の土台を作るために、以下の点を心がけましょう。
積極的に摂るべき栄養素: 髪の主成分であるタンパク質、髪の合成を助けAGAの原因にも働きかける亜鉛、そして頭皮環境を整えるビタミン群。これらをバランス良く摂取することが不可欠です。
避けるべき食習慣: 脂質や糖質、塩分の多い食事、そして過度なアルコール摂取は、皮脂の過剰分泌や血行不良を招き、頭皮環境を悪化させます。これらを控えることも、積極的な栄養摂取と同じくらい重要です。
食生活の改善は、髪だけでなく全身の健康にもつながる自己投資です。しかし、すでに進行したAGAに対しては、食事改善だけでは限界があることも事実です。
日々の食事管理という大切な土台を築きながら、もし本格的な改善を望むのであれば、専門医に相談し、医学的根拠に基づいた治療を検討することが、悩みを解決するための最も確実な方法と言えるでしょう。
当院で取扱の薬品
当院では、国内正規品のプロペシアとフィナステリド錠(プロペシアジェネリック)、ザガーロとデュタステリド錠/カプセル(ザガーロジェネリック)、ミノキシジル配合外用液5%、カルプロニウム塩化物外用液5%を処方しております。処方や服用方法に関して詳しくは下記ページをご覧ください。
- プロペシア(フィナステリド)とは?効果・副作用・費用から注意点まで専門医が徹底解説【医師監修】
- 当院で取扱のプロペシアジェネリック(フィナステリド錠)(東和薬品株式会社/富士化学工業株式会社/ヴィアトリス製薬合同会社)
- ザガーロ(デュタステリド)の効果や副作用、服用方法と注意点を解説【医師監修】
- 当院で取扱のザガーロジェネリック(デュタステリド錠/カプセル)(東和薬品株式会社/Me ファルマ株式会社)
- ミノキシジルの効果と副作用、内服薬と外用薬の違いについて解説【医師監修】
- 【医師監修】カルプロニウム塩化物の処方と服用方法 –AGA治療のリブラクリニック
当院では電話での問診にてオンライン診療を実施しております。来院不要でかかる費用はお薬代のみですので、お気軽にご相談ください。